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不動産開発インセンティブと税制改革案

2018年1月4日 / 7 min read

米国両院協議会より発表された税制改革最終案により、多くの企業に関わりのある不動産開発インセンティブが直接の影響を受けます。以下にその条項および内容の一部をご説明します。

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2017年11月2日税制改正案が下院より、11月9日には上院より発表され、12月15日には最終版が両院協議会により公表されました。その中には不動産開発インセンティブに直接影響を及ぼす条項が含まれています。知っておくべき内容について以下にご説明します。

Low-income housing tax credits (LIHTC : 低所得者住宅投資減税)

変更案: 法人税の35%から21%への引き下げにより、LIHTC (低所得者住宅投資減税)に間接的ながらマイナスの影響が出ます。また、ADS (選択的減価償却制度 )下にある築40年から30年の賃貸住宅の耐用年数を減少するという条項により、LIHTCの一部も影響を受ける恐れがあります。

影響: 法人税の引き下げにより、投資者が減価償却およびその他の投資にまつわる項目の対価として現在受け取る控除を考慮すると、LIHTCの査定は約15%減少。その結果、現在の優遇税制の効力が落ち、賃貸物件の建築量が減ると見られます。ですが、これらの影響は両院協議会の税制改革案が 新規購入固定資産の特別償却およびセクション179の控除の適用範囲を広げた場合、軽減される可能性もあります。

法人税の引き下げにより、LIHTCの査定が15%程度減少。

プランニング: LIHTC融資で終了してないプロジェクトは、投資者と密に連絡を取り、税法の変更により取引のエクイティに悪影響がでないよう契約書を再度確認することが必要です。

New markets tax credits (NMTC: 新市場税額控除)

変更案: 両院協議会では、新市場税額控除(NMTC)は採用されていません。両院協議会案では上院案を採用し、2017年以降の法人AMTを削除するとしています。

影響: NMTCプログラムは今回の税制改革の影響を受けない見込みです。下院案が通過しなかったため、NMTCアワードもあと3回は最低継続されます。

また、法人税の35%から21%への引き下げにより、NMTCの投資者らの支払う出国税率も下がるため、NMTCの価格設定には好影響となります。

プランニング: NMTC助成金が必要となるプロジェクトのスポンサーは、2018年の第一四半期に次回のNMTCアワードが発表される前に、プロジェクトにすぐに着手できるよう準備しておくこと。上院・下院からのNMTCプログラムへの多大なる脅威にも関わらず、NMTCプログラムは税制改革の影響を受けない見込み。

Historic tax credits (HTC: 歴史税控除)

変更案: 両院協議会は、20%のHTCF(歴史税控除)を継続し、2017年12月31日以降のQRE(賃貸不動産復旧支出)の控除を要求するという上院案を採用。しかし、2017年12月31日以降に発生したQRE分の10%の復旧税額控除は適用されません。

影響: 納税者は現行の規制に基づき、2017年12月31日以降に建築物を所有もしくは賃貸しており、かつ24カ月の復旧期間が制定の180日以内に開始の場合、復旧税の控除を行うことが出来ます。

また、法人税の35%から21%への引き下げにより、企業のHTC投資者らの支払う出国税率も下がるため、HTCの単一エンティティの取引の価格設定には好影響となります。

プランニング: 古いもしくは歴史的価値のある建築物の復旧を計画中ではあるが2017年12月31日までに物件の買収が完了しない場合、デベロッパーは2017年12月31日までに売手が認定パートナーシップ(一人以上のパートナーが存在するパートナーシップ)として物件を所有しているか確認すること。2017年12月31日以降に建物を購入した場合、建物そのものの購入ではなく所有を行うパートナシップに関心を持つ納税者が二人いれば、デベロッパーは既得権条項の利点を享受することが出来ます。

古いもしくは歴史的価値のある建築物を既に所有しており、復旧を計画中のデベロッパーは、その建築物が2017年12月31日までに認定パートナーシップにて所有されている場合、復旧税控除を最大限に活用できます。

歴史的建築物の復旧を計画中のデベロッパーは、2017年12 月31日までに移行規制に定められた所有条件を満たすこと。

州税控除

変更案: 法人税は35%から21%へ引き下げ。個人は州税、地方税(売上税の方が高ければ売上税)と固定資産税の合計の税控除額の上限が1万ドルとなります。

影響: 州税控除がパートナーへ割り当てられている場合、州税を現金で支払う代わりに出資することで州税控除額は通常連邦税控除を投資者に補償するよう調整されます。個人の場合、州税を現金で支払うのであれば、ほとんど連邦税の恩恵を受けないため、価格設定が急激に上がる可能性があります。個人の州税控除投資者は控除 対象外州税を、投資の売却による資本損失分まで控除損失へと転換することも可能です。

プランニング: 州税控除が考えられるプロジェクトは、控除の配分を考え、法人税の引き下げや個人の州税・地方税の控除の新たな制限額を有効利用し、控除額を最大限にすること。逆に、多額の州税を支払っている個人は、州税控除に投資を考慮すべき。
パートナーシップからパートナーへ州税控除の割り当てを行う際は注意が必要。州税控除の売上として計上していると判断され問題となる場合があります。

セクション 118 – 交付金構造の変更

変更案: 行政団体や民間団体からの補助金は課税対象(株主による拠出を除く)。しかし、施行前に行政団体が認可した開発計画に準じるものであれば、行政団体からの補助金には、既得権条項が適用される場合もあります。

影響: セクション118の一部が廃止されることにより、営利目的のデベロッパーが行政団体や民間団体から補償金を受け、連邦税や州税を支払うことなく不動産開発の資金提供を行うことは非常に困難となります。

プランニング: 現行のセクション118に当てはまるデベロッパーは、既得権条項が適用されないのであれば、補助金の受領を急ぐべき。セクション118の部分的廃止により、現行のセクション118に当てはまるデベロッパーで、既得権条項が適用されない場合は、補助金の受領を急ぐべき。

ご質問がおありの際は、弊社までご連絡ください。

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