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新しい自動車産業: モビリティの未来について

2019年3月12日 Podcast 1 min read
Authors:
Dave Andrea

自動車産業に大きな変革が起ころうとしています。皆さんはそれに向けた準備はできていますか? ここでは、自動走行車、MaaS (モビリティ・アズ・ア・サービス)、電動化などの自動車産業に起こる主要なトレンドと、それらが総合して引き起こす変革についてディスカッションしていきたいと思います。この変革にどのように対処していくべきかについても言及していきたいと思いますので、どうかお付き合いいただければ幸いです。

このポッドキャストでは、 自動走行車、MaaS (モビリティ・アズ・ア・サービス)、そして電動化 の3つのトレンドがどのように相互に影響を及ぼし、バリューチェーンの大規模な再編成を促すかについて説明していきます。 ホワイトペーパー「モビリティの近未来:自動車産業の変革」のエグゼクティブレベルの概要と、自動車サプライヤーがこの変革に備えるために考慮しなければならない点についてご紹介させていただきます。

ポットキャストで議論した全ての内容は以下の通りです。

新しい自動車産業: モビリティの未来について

Dave Andrea:「新しい自動車産業:モビリティの未来について」のディスカッションにようこそ。プラントモランの自動車戦略コンサルティングプラクティスグループのトップを務めるDave Andreaと申します。本日は、Daron Gifford氏とともにディスカッションを進めていきたいと思います。Daron氏は自動車業界に40年以上携わった経験があり、直近の6年間はプラントモランのパートナーとして、技術革新、運営、そして経営戦略という観点から、今後の自動車産業に向けた我々の戦略づくりを主導してくれました。本日は、同僚であるMark Barrottとともに作成したホワイトペーパー「モビリティの近未来:自動車産業の変革」のエグゼクティブレベルの概要をご紹介したいと思っています。本日のディスカッションでは、ホワイトペーパーの中から主に自動車サプライヤーに向けて書かれた内容を中心に取り上げたいと思います。ホワイトペーパーは、plantemoran.com/futureofmobilityよりダウンロードが可能です。 Daronさん、本日はディスカッションに参加してくれてありがとうございます。あなたは、プラントモランがモビリティのモデリングを開始する際にイニシアチブを取ってくださいましたよね。またホワイトペーパーの作成もあなたが主導となって動いてくれました。これまで、自動車産業に長く携わってきたと思いますが、その中でどんなことを見聞きしてきたかを、あなたがこの業界に力を注ぐ理由も踏まえて教えていただけませんか。

移動の未来

Daron Gifford: ありがとう、Dave。移動の手段が今後どのように変わっていくのかについて、クライアントから幾度となく質問を受けてきました。我々の分析チームは、個人の交通手段と商業的輸送が今後どのように変化していくのか、またその新しい変革によって私たちの移動方法がどのように変わっていくのかを分析してきました。過去数年間にわたる分析の結果、交通の将来について見えてきたことがあります。それは5年後や10年後の未来ではなく、それよりもっと先の2050年頃の未来です。移動の概念が根本的に変化するまでには、おそらく数十年という時間がかかります。ですから2、3世代のタイムフレームをまたぐ2050年を一つの目安にすることを考えました。移動の概念はこれから大きく変わります。特に、運輸業界がどのような役割を果たし、自動車がどのように使用され、どのようなサービスが提供されるのかという点において、その変化は目覚しいものとなるでしょう。しかしそれは私たちが今日享受しているすべてのテクノロジーが自然と進化を遂げるだけであって、私たちの社会に起こる変革はごく自然な流れに乗って起こるものと考えられます。

Dave Andrea: とても重要な点ですね。商業車両とプライベート車両の両方において、自動走行とそれに関連するテクノロジーがどのようにして移動の概念を変えていくのか、そしてそれがどのようにして我々の生活に浸透していくのか、またその新しい変革を支えるビジネスモデルはどのようなもので、自動走行車はどのようなコンポーネントでどのように組み立てられるのかなど、今後の変革については様々な質問が飛び交っています。そのような中で、サプライヤーは30年後または40年後の自動車産業を見据えた時に、何からどう取り組むべきなのでしょうか。

進化の過程には様々な障壁が存在しているのもまた事実ですが、自動走行車は皆さんが想像している以上の速さで目覚しい進化を遂げています。

Daron Gifford:自動車産業における革命は、まず自動走行車から始まると我々は分析しています。自動走行車はすでにある程度実現しており、皆さんが想像している以上の速さで目覚しい進化を遂げています。その進化の過程には様々な障壁が存在しているのもまた事実ですが、自動車事故を防ぐこと、そして事故によって死亡する人の数を減らすことで自動車をより安全な乗り物にするという目標が、今日の自動走行技術の進化を推し進めています。携帯をいじりながらの運転は自動車事故の主な原因の一つとなっており、運転手が原因の自動車事故は日常的に発生しています。

この自動走行車の進化によってもたらされるのがモビリティ(移動可能性)の概念、または自動車のシェアリングサービスの普及です。自動車をシェアするという概念は、今ある自動車を無駄なく利用しようという経済的な観点より生まれました。1日1時間しか使われていないような自動車を、1日に10時間、場合によっては15時間利用しようという効率に目を向けた考え方です。1台あたりの自動車の利用率は大幅に増えるでしょう。しかし、自動車をシェアするまでに至る道のりは平坦ではなく、どのようにしてその利便性を向上させるのかが課題となっています。レンタカー会社はなんとかしてこのシェアサービスのシステムを取り入れなくてはなりません。オフィスや自宅を出た時に、誰もがすぐに自動車に乗り込んでできるだけ短時間で移動したいと考えているはずですから、自動車へのアクセスのしやすさが何よりも重要になってきます。自動車を所有するのにはお金がかかりますし、タクシーやUberも決して安い移動手段とは言えません。しかし自動走行車が実現すれば、経済的にも、モビリティを考えた上でも多くの利点がもたらされることが考えられます。利便性と経済的理由こそがモビリティが普及する上で主要な促進要因となるでしょう。

電動化を加速させるモビリティサービス

Dave Andrea: 自動走行技術の進化がモビリティサービスを普及させるのですね。ではそのモビリティサービスの普及が次にもたらすのは、自動車の電動化ということになるのでしょうか?

Daron Gifford: その通りです。自動車の電動化、または電気自動車の発展は、自動走行技術、モビリティまたはシェアサービスによって実現されると考えていいでしょう。充電が長持ちしないことから長距離走行ができないこと、バッテリーの充電にしばらく時間がかかること、そして電気自動車の購入価格が高いことなど、これらの致命的な欠点が今日まで電気自動車の普及の足枷となってきました。充電設備が充実することで電気自動車に対する抵抗感が少しは和らぐ可能性がありますが、それらの充電設備の設置には多額の費用がかかることから、充電設備の環境が整うまでにはまだしばらく時間がかかることが予想されます。自動走行車両が実現すれば、誰かを降ろした後に自動車自らが充電スタンドに向かうことだって可能になるでしょう。もしそれがシェアサービス用の自動走行車であれば、その充電直後に別の誰かをピックアップすることも可能になるはずです。

自動走行車、シェアサービス、そして自動車の電動化に関する我々の予測モデルは、30を超えるさまざまな変数に基づいています。未来の自動車産業のエコシステムやビジネスモデルをしっかり予想する上では、市場インパクト、市場の変化、政府規制、技術の進化、消費者嗜好、さらには消費者が自動走行車、電動自動車または自動車のシェアサービスに関してどのような印象を抱いているかなど、様々なことを考慮していかなくてはなりません。

我々が作成したホワイトペーパーは主にアメリカ市場に焦点を当てていますが、ヨーロッパ、中国、日本など、自動車産業におけるこれらの新しいトレンドを最も早く採用すると思われる国々についても我々はこのモデルを試算しました。これらの国々は他の国と比べて技術の進化が早いからです。電気自動車の発展は、2025年までの7年間は限定的であると我々は予想しています。米国において大きな変化が起きるのは、電気自動車のパワートレインが従来の内燃機関エンジンの費用に最も近づく2030年代の始め頃となると考えています。その時にはじめて、電気自動車とガソリン車のどちらを購入するのか、またどちらが経済的であるのかを消費者は真剣に考えるようになると思われます。これは市場をベースにしたモデルであるため、米政府による規制はあまり考慮していません。これがヨーロッパや中国など、政府による規制が厳しい国になると、政府による規制要因を十分考慮する必要があります。政府規制が米国よりも厳しいヨーロッパや中国の方が、電気自動車の普及が早く広がるものと思われます。おそらく2020年代の後半には、大きな変化が訪れるでしょう。

サプライヤーとしての最初の取り組み

Dave Andrea: 最初の質問に戻らせていただきます。これらの新しいメガトレンドの登場によって従来のコンポーネントやシステムが次々と衰退していく一方で、サプライヤーにとっては新しい機会が創出されることにもなると思いますが、これからの変化に対してサプライヤーはまずどのような行動を取るべきなのでしょうか。自動車の組立工場が今後どのように変わり、OEMがこれまでサプライヤーにアウトソースしてきた自動車の組み立て作業がどう変化していくのか、ぜひ教えていただければと思います。

Daron Gifford: 新しい技術が採用されることで、自動車の製造は大きく変化すると思います。電気自動車は従来の内燃機関エンジンを使用した自動車のように、たくさんのパーツや部品を必要としません。その動力源は非常にシンプルにできています。従来のエンジン、トランスミッション、燃料システム、排気系統等は電気自動車の展開とともに衰退していくでしょう。これら従来のコンポーネントの代わりに登場するのが、電池セル、電池パック、電流を変換するためのインバータ、駆動用モーター、そして充電モジュール等の構造です。これらは全て新しいコンポーネントであるため、サプライヤーにとっては新しい機会の創出を意味しますが、従来の自動車部品を提供してきたサプライヤーにとっては脅威ともなりえます。

自動走行車とシェアサービスは、電気自動車とは違った要件が求められます。シェアサービスや自動走行車の普及により、1台当たりの自動車の利用時間が増えることが予想されることから、自動車の利用目的や様々な乗客に合わせて、第三の居住空間となる自動車の内装をより快適なものに仕上げられるよう、サプライヤーは試行錯誤しなければなりません。もうおわかりだと思いますが、これらのことを考慮すると、その製造要件は単に電気自動車を製造するということよりもより一層の効率性、自動化、そして品質が求められます。これらの自動車は、年間12,000マイルではなく100,000マイルもの距離を走ることが予想されるからです。

シェアサービスや自動走行車の普及により、1台当たりの自動車の利用時間が増えることが予想されることから、自動車の利用目的や様々な乗客に合わせて、第三の居住空間となる自動車の内装をより快適なものに仕上げられるよう、サプライヤーは試行錯誤しなければなりません。

私たちは、これらのコンポーネントがどのような自動車をどのような価格で生み出すのかについても、私たちが試算するモデルの重要な点であると考えています。この自動車産業の未来について、この変革が今後どのように推移していき、サプライヤーの皆様にとって重要となる時期はいつになるのか、またコンピテンシーの中で最も守っていくべきものは何なのかを、サプライヤーの皆様とともに考えています。同じプラットフォームが幅広い車種で使用されるようになることが予想されることから、これらの新しいトレンドにおいては、自動車の差別化はあまり重要ではなくなると考えています。同じプラットフォームとは、スケートボード型のシャーシを意味します。より多くの距離を走ることができ、より長持ちする実用的で安価な車両が求められていますので、すでに多くのOEMがこのスケートボード型シャーシを採用しています。サプライヤーは、今後の自動車産業における変革において、これら新しい構造に対応していかなくてはなりません。

未来の自動車ビジネスモデル

Dave Andrea: ということは、これまでの30年余にわたって私たちが親しんできたビジネスモデルが根本的に変化することを意味しているのですね。この変革のどの部分がサプライヤーに最も影響を与えると思いますか?製品設計やエンジニアリングに関することでしょうか、それとも消費者が何に価値を見出すのかというもっと根本的なことでしょうか?

Daron Gifford: とてもいい質問ですね。未来の自動車産業のビジネスモデルは、劇的に変化すると私たちは考えています。特に、Maasの概念に大きく影響を受けることになるでしょう。このモビリティの概念とは、自動車をただ販売するというこれまでのものとは大きく異なり、自動車を通して消費者にどのような価値を提供できるのか、そのことに焦点が当てられます。この新しい市場には新たに資金が必要となるため、ゼネラルモーターズやフォード、フォルクスワーゲンなどのような伝統的なOEM企業だけでなく、Google、Apple、Amazoon、そして Uberなど、新しい競合他社が参入しようとしています。

これらの企業の中で競争力を維持するためには、ある程度の資金力が不可欠となります。そしてOEM企業は、未来のどの点に焦点をあて、どの分野に集中して取り組むべきかを選択しなければなりません。そしておそらくOEM企業の多くが消費者側のビジネス(シェアサービス等)により資金を投入する形になるでしょう。そうなれば、サプライヤーは製造や設計に関してこれまで以上に携わることができ、今日のOEMが持つコンペテンシーを引き継ぐことができます。そしてこれこそが、未来のサプライヤーのビジネスモデルを大きく変える要因になると考えられます。

この新しいビジネスモデルを見ていきましょう。製造により多くの資源を投入することで、サプライヤーの中にはより多くの設計力、デザイン力、そしてアイディアを提供できる企業が出てくると思われます。より多くの製品開発がサプライヤーをベースとしたものへとシフトしていき、サプライヤーを基軸に技術革新が起こるでしょう。その場合、もちろんサイバーセキュリティに関する問題が浮上しますが、サプライヤーは今後どんなコンピテンシーを温めていくべきなのか、そして新しいトレンドの波に乗って成長するためには何に投資をするべきかを考えなくてはなりません。サプライヤーにとって新しい機会が生まれるのは確かですが、注意していなければ大きな脅威にもなりえます。

この新しいビジネスモデルを見ていきましょう。製造により多くの資源を投入することで、サプライヤーの中にはより多くの設計力、デザイン力、そしてアイディアを提供できる企業が出てくるでしょう。

Dave Andrea: Daronさん、本日はこのディスカッションに参加してくださりありがとうございました。自動車業界に訪れるメガトレンドと、今後サプライヤーが直面する課題が見えてきました。本日議論した予測モデルとフレームワークの内容は、19ページにわたってまとめてあります。ホワイトページは、plantemoran.com/futureofmobilityよりダウンロードが可能です。本日議論した自動車産業に起こるトレンドが皆様のビジネスにどのように影響するかについは、ぜひ個別にご相談いただければと思っております。Daronまたは私がご対応させていただきます。本日はありがとうございました。

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